45年前、大手食品会社を経て髙山産業㈱に入社し、どんなことを感じて今日までやってこられましたか。
当社は戦前の昭和16年に製缶や溶接工事で設立し、戦後にLPガスの販売を開始した会社ですが、伝統的に和やかな企業風土で、オーナーと社員の関係もとても近いことが特徴かと思っています。
社員旅行を長年続けていますし、平成19年に私が社長になってからは、社員の誕生日会を時期によって2~3グループに分けてホテルで開催するようになりました。頑張ってくれている社員を慰労するのが目的ですが、プレゼントを何にするか毎年いろいろ考えるのは楽しいですね。
この他にもいろんなイベントを実施していますが、西大寺会陽には40人~50人ほどの社員が熱心に参加してくれています。社員の連帯感はとても強いんじゃないでしょうか。
4年おきのLP ガスの法定点検を、業界の慣例より2ヶ月前倒しで実施。余裕を持った作業で安全管理を徹底する
家庭用LPガスの需要が減少する中で、どのような事業展開を試みているのでしょうか。
うちには家庭用LPガスを扱うLPガス部、産業用ガスや溶接機材を扱うインダストリーソリューション部、内装建材や水回りなど住宅設備機器を扱うエナジーソリューション部の3つの大きな部署があります。
しかしながら、主事業としてきたLPガス事業は、少子高齢化による世帯数の減少やオール電化住宅の普及などによって、近年は利用者が年々減少しています。特に岡山県北の地域では人口の自然減が顕著でお客様の減少につながっています。当然、こうした外部環境の変化に応じた新たな事業展開が必要になってきます。
そこで近年は、ウォーターサーバーを利用した飲料水の宅配サービスや、当社オリジナルの健康食品の青汁の販売に取り組んでいます。LPガス事業は定期的に配送するという特性を持っていますので、こうしたリピート性のある商品とは親和性がありますし、ストックビジネスとして安定的な収益を見込める利点もあります。一朝一夕にはいきませんが、こうした事業を4つめの大きな柱に育てていきたいですね。
ガス事業者でありながら「脱ガス屋宣言」をされていますが、どんな思いを込めてのことでしょうか。
お客様はガスを何のために使っているのか、言うまでもなくこれは「もっと気持ちよくお風呂に入りたい」「もっと料理を楽にしたい」など、快適な生活をするためです。扱っているモノの品質はうちのプロパンガスも他社のプロパンガスも都市ガスもそう変わらない。当社のお客様にとっては、それがたまたまLPガスで、たまたま髙山産業だっただけ。もっと言うとオール電化でもいいわけです。
都市ガスがひけていないとか、昔からの付き合いだとか、お客様のいろいろな事情の中で当社を選んでくださっているということを、私たちはよく理解をしておくべきなんです。ということは、今後、当社がさらに飛躍するためには、お客様にとって〝髙山産業でなければならない〟理由が必要なんです。選ばれる企業にならないといけない。
幸いにというべきか、ガス屋は4年に1回お客様のところに伺い、調査点検することが法律で義務付けられています。LPガスボンベの状況だけでなく、家に上がってガス設備の調査点検を行わないといといけない。必然的に、お客様との継続的な関係性が構築されるわけです。
社員には、お客様が相談を持ち掛けてきてくれればどんなことでも対応することが必要だと常々話しています。家に伺い、顔を合わせて話を聞き、お付き合いをいただいてきたLPガス業者だから、髙山産業だからできることがあるんだと。
例えば灯油のボイラーが壊れた、水道の蛇口が水漏れするなど、ガスに関することでなくてもすぐに伺う体制を取っています。私たちの役割は、ガスそのものを販売することではなく、お客様に豊かで快適な暮らしを提案することなのですから。
近年、お客様の家に定期的に直接伺うビジネスそのものが少なくなっています。だからこそ、お客様に近い存在であること、近い存在で居続けることを大事にしていきたいですね。
長年続けている社員旅行も社員の連帯感を高める欠かせない行事になっている。吉本興業では漫才教室も体験した
「なんでもやってみりゃあええが」とポスターやパンフレットにも載せていますが、まさに社員を育てるために発してこられた言葉ですね。
これは昔、社内の勉強会のなかで話していて自然と出てきた言葉なんです。社長が何か言ってくれるのを待っているのではなく、自分たちから動いてほしい。じっとしていると進歩はありませんからね。
何もしないようではいけない、とにかく動いて、そして何かを変えていってほしい。集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、リスクを恐れず食料を求めて最初に飛びこむ”ファーストペンギン„になろうとする社員を、私は「なんでもやってみりゃあええが」と後押しするだけのことです。私は社員が集まるときにはしばしばこの話をしてきました。
私も70歳になりました。これからは次の世代の人たちにより多くのことを任せていかないといけないと思っていますし、社員には会社の次への土台作りのためにいろいろとチャレンジしていってもらいたいと切に願っています。
そうしたなかで、社長としてはやはり社員の健康が一番気になります。このことはコロナ禍で痛感したことです。社員の健康は私の最優先事項ですから。
おかげさまで、昨年に続き経済産業省の「健康経営優良法人ブライト500」に2年連続で認定していただきました。これからも継続していかなければなりません。健康診断や健康づくりへの助成、ゴルフコンペや100㎞歩行、懇親キャンプに禁煙セミナーなどさまざまなイベントも実施しながら、入社当時に感じた和やかな企業風土を大事に、社員が心身ともに元気に働ける職場を目指していきたいと思っています。
髙山 眞司(たかやま・しんじ)
昭和29年生まれ。関西学院大学卒業。㈱山崎製パンを経て、昭和54年、髙山産業㈱入社、平成19年に代表取締役社長就任。(一社)岡山県LPガス協会会長。「私たちは、ガスを売らない」をスローガンに掲げ、人々の生活を豊かにする事業に邁進していく
本 社 岡山市北区清輝橋1-8-21
事業内容 LP ガス・産業用ガス・産業機械・住宅設備機器の販売
代表者 髙山 眞司 代表取締役社長
設 立 昭和21年8月
資本金 4,000万円